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「官民協働による道路と沿道建物の一体的光環境計画」 景観啓発 | 立川市

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(1)

官民協働による道路と沿道建物

の一体的光環境計画

INTEGRATED LIGHTING DESIGN OF

THE STREET AND THE NEIGHBORING

BUILDINGS IN COOPERATION WITH

PUBLIC AND PRIVATE SECTORS

小林茂雄— ————* 1

キーワード :

官民協働,低輝度分散配置,街路照明,低色温度,社会実験

Keywords:

public and private cooperation, low-intensity light distribution, street lighting, low color temperature, social experiment

Shigeo KOBAYASHI——— * 1

This research discussed about improving a streetscape together with the street and the surrounding sites at night. Based on investigation of the existing street and interviews to residents, three goals, “pedestrians should be principal in the street”, “coordination of the whole streetscape”, and “expression of the characteristics of the area”, were set up as a role of lighting environment at night. The lighting environment according to those purposes was fixed over 29 days. During the experimental period, a large number of low-intensity lights distributed in the low position of 4 m or less. The questionnaire survey to residents or pedestrians was carried out. It was conirmed that the goals set up in the beginning had been achieved.

官民協働による道路と沿道建

物の一体的光環境計画

小林茂雄  * 1 

キーワード:

官民協働、低輝度分散配置、街路照明、低色温度、社会実験

lighting

*1

lighting environment according to those purposes was ixed over 29

survey to residents or pedestrians was carried out. It was conirmed

1. 研究背景と目的

  本 活 動 は、 夜 間 の 街 路 景 観 を 改 善 す る に 当 た り、 公 有 地 と 民 有 地

を 一 体 に 捉 え、 地 域 住 民 と 協 力 し な が ら 街 路 全 体 の 照 明 を 整 備 す る

可能性を検討するものである。

  道 路 に 面 す る 建 物 の 敷 地 は 基 本 的 に 民 有 地 で あ り、 そ れ ぞ れ の 施

設 ご と に 異 な る 考 え 方 で 照 明 が な さ れ て い る。 看 板 灯 に つ い て は、

面積や点滅の可否などが自治体の屋外広告物条例や夜間景観計画

注 1)

で 定 め ら れ て い る と こ ろ が あ る が、 光 色 や 輝 度 に つ い て 拘 束 す る た

め の ル ー ル は 一 般 的 に は 設 定 さ れ て い な い。 良 好 な 夜 間 景 観 を 形 成

す る こ と を 目 的 と し て、 道 路 と 民 有 地 の 光 が 実 際 に 連 携 し て 整 備 さ

れ て い る 例 と し て は、 倉 敷 市 美 観 地 区 の 夜 間 景 観 照 明

1・2)

な ど 伝 統

的 な 街 並 み を 有 す る 地 域、 ハ ウ ス テ ン ボ ス な ど の テ ー マ パ ー ク、 新

規に整備された建売分譲地

3)

でみられる。

  筆 者 ら は こ れ ま で、 道 路 周 辺 の 見 通 し を 確 保 す る こ と や、 建 物 内

部 の 人 の 気 配 を 街 路 に 表 出 す る な ど の 別 の 観 点 か ら、 夜 間 街 路 照 明

の あ り 方 に つ い て 研 究 し て き た。 富 山 市 八 尾 町

4)

や 横 浜 市 山 手 地 区

5)

、岐阜県白川村平瀬地区

6)

などにおいて、道路上の光の総量を抑え

な が ら、 民 有 地 に 光 を 積 極 的 に 配 置 す る よ う な 照 明 実 験 を 行 い、 効

果 を 検 証 し た。 白 川 村 平 瀬 地 区 で は、 実 験 結 果 に 基 づ い て 照 明 の 改

修整備に結びつけている

7)

。これまでは比較的歴史と統一感のある街

並みを対象として取り組んできた。

  本 活 動 は、 観 光 地 で も 再 開 発 事 業 地 で も な い、 都 市 部 の 街 路 を 対

象 と す る。 は じ め に、 地 域 の 人 々 と 夜 間 の 街 路 に 求 め ら れ る 事 柄 を

議 論 し、 照 明 に お い て 取 り 組 む 観 点 を 整 理 す る。 そ し て、 道 路 と 民

有 地 で 一 体 と な っ た 街 路 の 光 環 境 を、 自 治 体 や 地 域 住 民 と の 協 力 を

協 働 で 調 整 し よ う と す る こ と を 目 指 し た 取 り 組 み で あ る こ と、 屋 外

照 明 に 関 わ る 新 し い 形 式 の 社 会 実 験 を 行 う こ と、 社 会 実 験 の 前 後 で

光 環 境 と 心 理 的 効 果 を 比 較 し、 道 路 上 だ け で な く 街 路 全 体 の 光 環 境

が変わることの影響を把握しようとすることにある。

2. 光環境計画の概念

2.1 街路の状況と課題設定

 東京都立川市柴崎町にある街路を対象場所としている。図1にJR

立川駅南口の地図を示す。立川市は東京多摩地区の中心都市であり、

立 川 駅 の 北 口 エ リ ア に は 大 型 商 業 施 設 や 文 化 施 設、 金 融 機 関 な ど が

建ち並び、商業・文化の拠点となっている。一方、駅南口エリアは、

立 川 に お い て 村 落 が 最 初 に 形 成 さ れ た 地 域 で あ り、 普 済 寺 や 諏 訪 神

社 な ど の 伝 統 あ る 祭 祀 施 設 が 点 在 し て い る。 北 口 に 比 べ て 区 画 が 全

体的に小さく、建物が小規模で密集している。オフィスビル、飲食店、

集合住宅が混在した地域で、昼間・夜間を通して人通りが絶えない。

この中で、柴崎中央公園通り(図 1、図 2)を検討することとなった。

JR 立川駅から約 100m の距離にあり、多摩モノレール立川南駅を起点

として西向きに伸びる長さ約 250m の道路である。西側 165m の部分は、

電 柱 が 地 中 化 さ れ る と 共 に 舗 装 タ イ ル な ど に よ っ て 路 面 の 整 備 が 進

んでいる。一方通行の車道 (4.1m) と両側に歩道(各 2.0m)が設けら

れており、幅員は 8.1m である。

 2013 年 6 月から 10 月にかけて、現地の夜間環境の課題について地

域住民・勤務者らと協議を行うと共に、街路歩行者 50 名(男性 31 名、

女 性19名 ) に 対 し て イ ン タ ビ ュ ー 調 査 を 行 っ た。 課 題 と し て 挙 げ

(2)

歩行者主体

(3)

通常時

実験時

麻 の 紐 で 作 っ た 丸 い シ ェ ー ド の 中 に ク リ ア 電 球 を 入 れ た。 単 調 に な ら な い よ う に 高 さ と 明 る さ に 差 を つ け て 取り付けた。

店舗の看板や、特徴的な景観要素にも 光を灯している。ここでは店先の灯篭 と 看 板 に ク リ ア 電 球 を 取 り 付 け た 例 を示す。

源 光

号 記 単価

消費 電力

[w]

単価 光束

[lm] 度

温 色

[K]

数 個

時 常 通

道路 水銀灯 100 4200 4900 40

民有地 蛍光灯

(白色)

20 1230 5200 22

40 3450 6500 17

水銀灯 100 4200 4900 13

公園

水銀灯 100 4200 4900 5 白熱電球 80 1150 2850 4

合計 7240 333910 101

時 験 実

道路

クリア電球

20 175 2850 22

40 495 2850 16

白熱電球

(レフランプ、 ビーム球)

80 800 2800 2

100 900 2800 23

150 1600 2800 4

民有地

クリア電球

10 70 2850 16

20 175 2850 8

40 495 2850 9

白熱電球

(レフランプ、 ビーム球)

40 560 2800 3

80 800 2800 13

100 900 2800 4

150 1600 2800 2

蛍光灯

(電球色)

20 1230 3000 22

40 3450 3000 20

LED投光器

10 800 3000 9

20 1600 6000 1

HID投光器 70 6600 6000 4

40 495 2850 18

歩道

歩道 車道

駐輪場 自走式

立体駐車場

柴崎中央公園通り

立川南駅

0 50m

A A’

B’ B

立川南駅

駐輪場 自走式

立体駐車場

a

b

a’

b’ 柴崎中央公園通り

図 6 実験時の照明設置風景

表 1 光源の詳細

す。また図 8、図 9 に、光源高さ別の光束、光源色温度別の光束を示

す。路面照度は北側歩道、車道、南側歩道を各々 7.5m 間隔で測定した。

また鉛直面照度は、歩道の中心線上で路面から 1.5m の高さで、同じ

く 7.5m 間隔で測定した。

 図 7 と図 8 より、通常時は高さ 4 ~ 6m の位置に路上と沿道建物の

光源が集中していることが分かる。この範囲に、光束 3500lm 以上の

光源が 40 灯あり、全光束のうち 63%を占めている。これに対し、実

験 時 で は 高 さ2~4mの 位 置 に 光 源 が 集 中 し て い る。 こ の 範 囲 に 光

束 3500lm 未満の光源が 91 灯あり、全光束のうち 56%を占めている。

さ ら に 図7と 図9よ り、 通 常 時 は 色 温 度4000K以 上 の 光 源 が 大 半 を

占め(光束ベースで 4000K 以上が 98%、6000K 以上でも 18%)、実験時

は4000K未満の光源が大半を占めている(光束ベースで86%)。これ

ら の 結 果 か ら、 実 験 時 は 通 常 時 に 比 べ、 低 い 位 置 に 暖 色 の 光 が 分 散

して数多く設置されているとことが明確である。

  ま た、 街 路 に 面 し て 設 置 さ れ て い る 光 源 の 全 光 束 は、 通 常 時

334klm、実験時 217klm となり、実験時は通常時の約 2/3 と減少した。

一方、照明全体の消費電力は通常時が 7.24kW、実験時が 9.57kW と約

1.3 倍と増加した。これは実験用に主に白熱電球を用いたためである。

こ れ ら の 光 源 を 全 てLEDに 置 き 換 え る こ と を 想 定 す る と、 消 費 電 力

は 3.01kW と通常時の半分以下に低下する。

 図 10 に、歩道と車道の平均照度を示す。歩道の平均路面照度は通

常時 28.8lx から実験時 45.8lx となり、約 1.6 倍となった。これは、ポー

ル に 設 置 し た 光 源 を 主 に 歩 道 寄 り に 照 射 し た こ と と、 歩 道 沿 い に 設

け た 足 下 灯 に よ る も の で あ る。 車 道 の 路 面 照 度 は 若 干 低 下 し た も の

の、あまり変化がなかった。そのため、歩道と車道の照度差は約 2.1

  図7の 路 面 照 度 分 布 よ り、 通 常 時 よ り 実 験 時 の 方 が 歩 道 軸 線 上 で

(4)
(5)

図 11 住民へのアンケート結果(N=73)

・実験時の明るさには問題ない。(69 名) ・街路の低い位置に連なる灯りは、歩いていて心

地よ く安心できる。視線も遮らない。(15 名 ) ・暖色系の光で統一されていて落ち着きがあり、

街に一体感があった。(11 名 )

・全体的にもっと明るい方が良い。(4 名 ) ・この場所には落ち着いた光ではなく、現代的で

活気があり、人を呼び込める光の方が良い。(3 名 ) ・立川らしさ、文化を表す必要があるのか。(3 名) ・車道にいる人を認識しにくい。(3 名)

・飽きっぽい性格で帰りは色々な道で帰っていたが、 実験が始まってからは毎日この通りで帰っている。 (2 名 )

・店舗ごとに違う灯りがあり、ひとつひとつをゆっく り見ていきたい気持ちになった。(2 名)

通常時と実験時の夜間景観と比較して、

より強く感じるのはどちらですか。

通常時 通常時

通 常 時 は 水 銀 灯 に よ っ て 街 路 が 一 様 に 照 ら さ れ て お り、 店 舗 の 雰 囲 気 は 感 じ ら れ に く い。 実 験 時 は 店 舗 の 看 板 に 内 側 か ら 光 が 当 た り、 ブ ラ ケ ッ ト が 追 加 さ れ て い る。 店 舗 の 雰 囲 気 や 内 部 の 様 子が街路上からも感じられる。

実験時 実験時

通 常 時 は 公 園 内 の 照 明 が 消 灯 が し て い る た め、 樹 木 が う っ そ う と し て お り、 奥 ま で は 見 通 す こ と が で き な い。 実 験 時 は 樹 木 の 形 状 や 色 彩 が 際 立 つ よ う に 光 を 当 て た。 ま た 公 園 内 部 の 光 に よ り 空間形状が把握できる。

肯定意見 課題

0% 25% 50% 75% 100%

街の文化・歴史 街路の明るさ 安全性 見通し 立川らしさ 人の存在感 街のにぎわい 店舗の個性 散策しやすさ 街並みの一体感 安心感 景観の美しさ あたたかみ

通常時

実験時

図 12 通常時と実験時の沿道建物の比較

表 3 アンケートで得られた主な意見 輝度を近づけたことの効果が表れたものといえる。

 「 店 舗 の 個 性 」 が 実 験 時 の 方 が 感 じ る と 回 答 し た の は64 % で あ る。

図 6 や図 12 左に示すように、店舗の看板や特徴的な部分に光を当て

たことや、建物の壁面ごとに光源と光色を選択したことの効果だと思

われる。「ひとつひとつをゆっくり見ていきたい」という光の個性に

ついての関心も示された。店舗への照明は、一箇所ずつ協議して決定

したことから、各々に特徴的な照明が設置された一方で、設置の密度

にはばらつきがみられた。そのため、「一部店舗に点灯が偏りすぎで

はないか」という意見も挙げられた。「安全性」については通常時と

実験時でほぼ同数の回答が得られた。実験時に「安全性」が不十分で

あると回答したのは 3 名であり、その理由として「車道にいる人を認

識しにくい」と述べた。通常時よりも歩道と車道の照度差を大きくし

たことで、車道上の視認性が一部損なわれた部分があると考えられる。

 「街路の明るさ」については、実験時と回答したのは 37%で通常時

の54 % を 下 回 っ た。 歩 道 の 路 面 照 度 と 鉛 直 面 照 度 は 実 験 時 の 方 が や

や高かったが、明るさの評価では逆の傾向がみられた。この理由とし

て、通常時はポール灯に拡散型水銀灯が用いられているために光源部

が明るく感じられることや、建物全体が比較的明るく照らされている

ことに対して、実験時は色温度の低い光源を使用したために「暗く落

も問題ないとしている。

 「立川らしさ」「街の文化・歴史」は実験時の方が上昇したが、「ど

ちらともいえない」と回答した者も多かった。「立川らしさが何か分

からない」「文化を光で表す必要があるのか」という意見も得られた。

こ れ ら の 項 目 は 照 明 改 修 の み に よ っ て 実 現 さ れ る の で は な く、 街 路

が 元 々 持 っ て い る 個 性 の 強 さ が 関 わ っ て お り、 早 急 に 効 果 を 出 す こ

とには限界がある。また暖色系の落ち着いた光ではなく、「寒色系の

光」や「現代的でスタイリッシュな光」が良いと言及する者もおり、

駅 近 傍 の 立 地 と い う こ と か ら も、 異 な る 街 路 景 観 の 方 向 性 を 求 め る

ことがあることが分かった。

3.3 課題

  以 上 の 実 験 結 果 と ア ン ケ ー ト 調 査 を 整 理 し、2014年2月 に 現 地 で

報 告 会 を 行 っ た。 社 会 実 験 と し て の 成 果 が 得 ら れ た こ と を 確 認 し た

が、 そ れ と 同 時 に、 恒 常 的 な 設 備 と し て 導 入 を 考 え る 場 合 の 課 題 も

出 さ れ た。 道 路 と 民 有 地 の 照 明 を 一 体 的 に 整 備 す る 際 の、 行 政 上 の

手 続 き や 費 用 負 担、 電 気 料 金 や 回 路 設 計 に 関 す る 課 題 が 挙 げ ら れ た

が、 そ れ 以 外 に、 目 指 す べ き 光 環 境 に 対 す る 住 民 や 関 係 者 の 合 意 形

成 に 関 す る 課 題 が 出 さ れ た。 実 験 時 の ア ン ケ ー ト か ら も、 落 ち 着 い

(6)

華 や か で 人 を 呼 び 込 め る よ う な 光 環 境 を 求 め る 者 も み ら れ た。 実 験

を 受 け て、 も う 少 し 高 い 色 温 度 や 強 い 輝 度 が あ っ た 方 が 良 い、 遠 方

か ら の 看 板 の 視 認 性 を 高 め た ほ う が 良 い、 と い う よ う な よ り 具 体 的

な要求が出されるようにもなった。

  多 様 な 意 見 が 出 さ れ た の は、 タ ー ミ ナ ル 駅 に 近 接 す る 立 地 で あ る

こ と と、 オ フ ィ ス ビ ル、 商 業 ビ ル、 集 合 住 宅 な ど 用 途 が 混 在 す る 街

路 で あ る こ と も 関 係 し て い る と い え る。 筆 者 ら が 照 明 実 験 を 踏 ま え

て 街 路 灯 を 整 備 し た 岐 阜 県 白 川 村 平 瀬 地 区

7)

は、 住 宅 を 中 心 と し た

温 泉 街 で あ り、 景 観 形 成 に 関 す る 目 的 は 共 有 さ れ や す か っ た。 そ う

し た 街 路 と 比 較 し て、 都 市 部 の 街 路 で は 独 自 の 目 的 は 共 有 さ れ に く

い。 た だ し、 光 源 の 強 さ や 設 置 位 置、 色 温 度 な ど に つ い て 今 ま で 以

上に具体的に議論できるようになったことは本実験の成果である。

4. まとめ

  本 稿 は、 夜 間 の 街 路 景 観 に 関 し て、 道 路 と 民 有 地 と の 照 明 を 総 合

し て 整 備 す る こ と を 目 指 し て 議 論 し た。 立 川 市 内 の 街 路 を 対 象 と し

た現状調査や聞き取り調査を踏まえて、夜間照明のあり方として、「歩

行者主体」「街の統一感」「地域の特徴の表出」の 3 つの目標を設定した。

こ の 目 標 に 沿 っ て、 道 路 と 隣 接 す る 民 有 地 に 合 計208灯 の 照 明 設 備

を設置し、29 日間に渡る照明社会実験を実施した。

 照明社会実験前後の住民や歩行者へのアンケート結果から、「散策

し や す さ 」「 街 並 み の 一 体 感 」「 店 舗 の 個 性 」 な ど の 項 目 で、 通 常 時

よ り も 実 験 時 に 強 く 感 じ る と 回 答 し た 者 が 非 常 に 多 く な り、 設 定 さ

れた目標が達成されたことが確認された。

  本 活 動 は、 街 路 の 光 環 境 を、 道 路 と 建 物 と 個 別 に 計 画 す る の で は

な く、 官 民 協 働 で 調 整 す る こ と を 目 指 し て 行 っ た も の で あ る。 地 域

住 民 が 協 力 し て 魅 力 的 な 夜 間 景 観 を 考 え、 ま た 実 際 に 景 観 形 成 に 関

わ る こ と で、 地 域 の つ な が り を 深 め る こ と や、 街 に 対 す る さ ら な る

関 心 や 愛 着 を 持 つ き っ か け に な る だ ろ う。 常 設 の 照 明 整 備 へ 向 か う

た め に は、 民 有 地 の 照 明 に ル ー ル を 設 け る こ と な ど の 合 意 形 成 が 必

要 と な る が、 今 回 の 実 験 に よ っ て 具 体 的 な 照 明 方 法 を 考 え る 指 標 が

示されたといえる。

謝辞

  本 研 究 活 動 は、 東 京 都 市 大 学 建 築 学 科 卒 論 生 の 飯 田 勇 太 氏、 岩 田

匡 平 氏、 江 口 あ か り 氏、 劉 駿 氏 と 協 同 で 行 い ま し た。 ま た 照 明 の 社

会 実 験 は、 立 川 市 産 業 文 化 部 産 業 振 興 課・ 都 市 整 備 部 都 市 計 画 課、

柴崎中央商店会、諏訪通り商店街振興組合、地域住民らとの協議の上、

実施しました。記して謝意を表します。

注 1)屋外広告物条例では一般的に、看板灯が設置できる区域、面積、色彩、動光、

点滅などについて規制している。神戸市や下関市をはじめとして、夜間景

観形成の方針や景観計画を策定している自治体もある。しかし多くは方針

を示すに留まり、拘束力は持たせていない。金沢市では、夜間景観形成基

準を具体的に定め、一定の以上の敷地や床面積の開発を行う場合、照明設

置行為の届け出を義務化するところまで踏み込んでいる。輝度の数値基準

についても定めているが、実務的な指導には用いていない。

参考文献

1) 石井幹子:建築・都市の環境と光 光によるリニューアル、月刊リフォーム、

Vol.24、No.3、pp.33-35、2007.2

2) 小原修:まちづくりと観光振興 倉敷駅周辺地区〜伝統的建造物と調和した

景観形成〜、新都市、Vol.61、No.11、pp.99-104、2007.11

3) 若 松 寿:Green Avenueあ ざ ぶ の 丘 の 照 明、 照 明 学 会 誌、Vol.94、No.4、

pp.215-216、2010.4

4) 角舘政英、小林茂雄、海藤哲治、池田圭介 :建物開口部からの光を活かし

た夜間街路照明の提案 富山市八尾町を対象として、日本建築学会環境系

論文集、No.612、pp.23-29、2007.2

5) 小 林 茂 雄、 角 舘 政 英、 名 取 大 輔: 場 所 の 認 知 を 促 す 建 物 外 構 照 明 の 提 案

  横 浜 市 山 手 西 洋 館 を 対 象 と し て、 日 本 建 築 学 会 環 境 系 論 文 集、Vol.74、

No.639、pp.561-567、2009.5

6) 小林茂雄、名取大輔、神宮彩、角舘政英:建物に付属する光によって与え

られる路上での安心感 岐阜県白川村の平瀬地区を対象として、日本建築

学会環境系論文集、No.627、pp.567-572、2008.5

7) 小林茂雄、鈴木竜一、角舘政英:分散配置型の低照度街路照明の整備と評

価 岐 阜県白 川村平 瀬地区 での実 践、 日本 建築学 会技術 報告集 第18 巻

 第 38 号、pp.233-238、2012.2

図 11 住民へのアンケート結果(N=73) ・実験時の明るさには問題ない。(69 名) ・街路の低い位置に連なる灯りは、歩いていて心 地よ く安心できる。視線も遮らない。(15 名 ) ・暖色系の光で統一されていて落ち着きがあり、 街に一体感があった。(11 名 ) ・全体的にもっと明るい方が良い。(4 名 ) ・この場所には落ち着いた光ではなく、現代的で 活気があり、人を呼び込める光の方が良い。(3 名 ) ・立川らしさ、文化を表す必要があるのか。(3 名)・車道にいる人を認識しにくい。(3 名)・飽き

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